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【明日晴れるかな?】(35)

 【以前こんな事が有った。覚えているかいユリねえ。】
**************************************
【・・・・俺・・・ユリと一緒に暮らせない。】
 ユリは衝撃を受けています。恐れていたことが現実になったのです。
 自業自得とは言え、現実になると目の前が真っ暗になってしまいます。
 激しい後悔がユリに襲い掛かってきます。
 (どうしよう、どうしよう。・・・いやだ、真ちゃんゆるして、ユリを許してください。)
 【まさか・・・と、思ったよ。初めて知った時には。】
 『違うの、違うの、真ちゃん。』
 ユリの目から涙が溢れていました。
 【目の前が真っ暗になったよ・・・・どうして?どうしてなんだ。】
 ユリの目から今では大粒の涙が零れています。
 真一の言葉一つ一つがユリの心に突き刺さります。
(あぁ・・・真ちゃん・・・あなた・・・ごめんなさい。・・・・私は・・・馬鹿な女です。あの時、あなたに全部話していれば、こんな事にはならなかった・・・・あなたに知られるのが怖くて・・・汚れたユリを愛してくれないかもしれない。そう思ってしまったの。)
 【何でだよ、俺が何をした?俺はそんなに酷い事をしたのか?】
 ユリがブンブン頭を振っています。
 (そんな事無い。全部ユリが悪いの。・・・・あなた・・・真ちゃん。あなたを苦しめてしまった。・・・どう償えば許して貰えるの。許して貰うにはどうすればいいの。)
 【チクショウ!】
**************************************

 夫の回想にユリは記憶を呼び覚ましました。
 この後、常務の精液を身体が求めたのでした。

 【・・・・その少し前・・・俺は・・・遺伝子レベルで被爆した。】

 【遺伝子が損傷して、子供を作る能力を奪われた。・・・・泣いたよ。悔やんでも悔やみきれず、恨んでもどうしようもない。俺はユリに子供を授ける力を失った。】
 ユリは言葉も無く夫の告白を聞いています。
 
 【・・・・逢いに行ったよ、常務に。・・・逢って何度も何度も殴った。暫くユリの前に現れなかった事が有るだろう。・・・・出られる状態じゃ無かったからな。】

 【殴って・・・・殴って・・・殴り疲れて・・・倒れている常務に・・お願いした。】

 【俺の代わりに2人に子を授けてくれるように・・・】
  ユリは驚愕の余り声も出ません。
 
 【欲しくても俺の子はユリにあげられない。どうすればいいのか悩んだ。悩んで悩んで・・俺は・・・頭がおかしくなった。・・・俺の妻を犯した男に俺の代わりに子を生せと頼んだ。】

 【常務に心が移ってしまうかもしれない。その恐れは何時も有った。抱かれる度に気持ちが移るだろうと、覚悟もした。】

 ユリは夫の言葉に、迷い惑乱した自分の過去を思い出し、常務に心を移しそうな自分を恥じました。
 不思議と自分を騙した夫に対する怒りは湧いて来ません。
 それより、健康だった夫が・・・と思うと涙が溢れて仕方が有りません。
 夫の事を怒る事も、憎む事も、蔑む気にもなれませんでした。
 夫は気がおかしくなった。と告白しましたが、それは嘘だと感じました。
 血の涙を流し唇が破れるほど噛んで、耐えたのでしょう。

 【・・・・黙っていて済まなかった。・・・言えなかったんだ。】
 
 【憎いだろうね。】

 『ううん。・・・・恨んでなんかいない。・・・・でも・・・・悔しい。』

 『どうして言って下さらなかったの?・・・私・・あなたの妻なのに。』
 妻と言う言葉が強く発せられました。

 『・・・どんな事でも・・・二人で乗り越えられる。・・・私が言っても嘘っぽいね。クスッ。』
苦笑交じりの言葉です。

 『あなたを・・・真ちゃんに告げられず、ズルズルと関係を続けて・・・・妊娠してしまう。・・・妻失格かなぁ。・・・真ちゃんも・・・夫・・・失格よね。』

 『真ちゃんが・・・許してくれるなら・・・失格者同士・・・3人でやり直しましょう。』

 【ユリ・・・ユリ。・・・・】
 
 『でも、真ちゃんが・・・サディストだったなんて。知らなかったわ。』
 ユリはうっとりした眼で真一を見つめます。
 
 【俺もユリがあんなに早く奴に堕ちるとは思わなかったよ。正直、焦った。】
 『そんな。だって・・・わたし』
 【いいさ、俺は自分の妻だから、ずっと遠慮が有った。君を傷つけてしまうかも知れない事を恐れた。それに・・・もしユリにその気が無かったら・・・俺は軽蔑されてしまうだろ。】

 他人が聞いたらウヤムヤの内に関係が修復してしまい、可笑しいと思うに違いありません。
 しかし二人とも判っているのです。
 お互いが相手を必要としている事に、その為には敢えて少し目を瞑り、やり直して見ようと思ったのです。
 ここで壊してしまう事は簡単です。
 いつお互いの事を赦せなくなってしまうのか、罵り合い、喧嘩をして別れてしまうのか、判らない程危ういのです。
 でも、少なくても妻を想ってした事、夫を想ってしなかった事、そのどちらの想いも理解する事が出来たのです。
 頭で考える事が出来ると言う事です。
 人間、頭で判っていても、感情で判らない事が多々あります。
 好きで一緒になった男女、婚姻届によって結びつけられた絆。
 しかしそれは、紙切れでしかないのです。
 紙切れを硬い鎖に変えるのは、相手を想う強い錬金術・・・愛情です。
 ユリと真一は今、夫婦の危機によって逆にスタートラインに立ちました。
 走り続け、転んでしまうかもしれない。疲れて立ち止まってしまうかも知れない。
 長い夫婦生活には様々な道程が幾通りにも伸びています。
 この物語のユリと真一は、この道を選びました。
 別の物語のユリと真一は別の道を辿るでしょう。
 形はどうであれ、2人が歩む道に決して間違いや正解は無いのです。
 この夫婦の物語は、ここで一旦舞台から外れます。
 またいつか、その後のユリと真一を描く事が有るかもしれません。二人の明日は晴れるでしょうか?
 真由美の事が気掛かりです。
 1人良い想いをした常務の事も気になります。更にイイ女をモノにしてしまうのでしょうか?鉄槌を下されるのでしょうか?・・・・・いつかまた・・・・・
 
                               ― Fin ―


【明日晴れるかな?】(34)

 【その子は・・・俺の子だ。そうだな。】

ユリは夫の言う意味が判りまあせんでした。しかし真一はお構いなく話を続けます。

【ユリから生まれて来る子供は、書類の上では全て俺の子だよ。俺が親子関係の事実無効を訴えない限り婚姻しているのは俺とだからな。】

そこまで言われてユリにも理解出来ました。

 例え夫以外の男の子種で妊娠出産しても法的には真一の子供となるのです。

【戸籍法第49条第1項にには「出生の届出は、十四日以内(国外で出生があつたときは、三箇月以内)にこれをしなければならない。となっている。同条第2項第3号には「父母の氏名及び本籍、父又は母が外国人であるときは、その氏名及び国籍」を記さなければならない。また、民法内772条妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。第2項には婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」

【第774条から第777条まで嫡出否認に関する事が規定されている。・・・それをするかどうかは夫の権利だ。】

 夫にこのような知識が有る事にユリは驚きました。多分夫はユリの不貞に以前から気が付いていて、調べたのでしょう。
その時の夫の心中を思いユリは涙が出てしまいました。
どうして自分1人の浅はかな考えで夫を傷つけてしまったのか、後悔しても遅かったのです。
この子を堕胎して夫に全てを話す。その結果離婚されても仕方が無い。今度はそう考えてしまいました。

【ユリ・・・今良くない考えを持ったな。形が出来上がっていなくても立派な命だ。そんな事は許さない。】

 ユリの考える事は夫に見透かされていました。

『あ、あっぁ。』

ユリは言葉にならない呻き声しか出せません。
漸く絞り出すように言葉を発しました。

『どうして真ちゃん。どうして怒らないのぉ!』

真一は不思議そうに小首を傾げます。

【何を?】

ユリは真一の言葉に絶望しました。
夫の中では自分のした不貞は怒る価値も無い事だと思われているのです。

『あなたを裏切って、他の男に抱かれて、妊娠したのよ。普通の夫婦なら怒られ怒鳴られて離婚でしょう。』

【ふ~ん。ユリはその男が好きなのか?】

夫の言う事は少しピントがズレていると感じたのですが、答えました。

『あんな人好きになるものですか。こんな事を言っても信じて貰えないでしょうけど、・・・今でも、好きなのは・・・あなたです。』

【ありがとう。それなら良いや。】

『ほ、ほ、本当にそれだけで良いの?』

悩み苦しんだ事が虚しくなるようなあっさりとした物言いです。

【ユリは身体だけその男に与えただけだろう?心はあげていない。それならまた二人でやって行けるよ。いや、3人かな?】

ユリは夫が怒りの余りおかしくなってしまったのだと思いました。どう考えてもこれだけで済む筈が無いと思っています。

 『真ちゃん。どうしたら許して貰えるの?』

 【許すとか許さないとか、もう関係ないよ。ユリは元気な子を産む。俺は二人の為に頑張る。今はそれだけだろう。その後は二人で子育てする。】

『それでは真ちゃんだけが辛い思いをしている事になる。私を罰してくれないと気が済みません。』

 【そうか・・・・じゃぁ・・・今直ぐ俺の前で全裸になって・・】

 真一がさりげない調子で言います。
 ユリは一瞬だけ躊躇いましたが、言う通り抗う事をしないで服を脱いで行きました。
 ブラとショーツだけは恥ずかしいのか後ろを向いて裸になります。

 【こっちを向いて。
 この言葉には流石に数十秒の躊躇いが生じました。
 暫くしておずおずといった様子で股間に手を置き隠すようにして前を向きました。

【その手をどけて。】

 陰毛が薄らと疎らに生えた股間が現れました。
 常務に剃られ手から以前の翳りを取り戻してはいなかったのです。
 真一は無言でユリの股間を見詰めています。真一の記憶と佇まいが違う事は明らかです。

 『うぅ・・』

 小さくユリが呻きます。
 不倫を告白したものの、その具体的な証拠を初めて夫の目前に晒したのです。

 【なんとまぁ。こんな事もしていたんだ。】

 ユリの身体がビクっと慄きます。

 【これじゃぁ、ユリのオマ○コが見えてしまうね。恥ずかしくないの?】

 夫の言葉に股間を隠そうとするユリです。

 【ダメだよ。そのまま動かないで。】

 夫の言葉にそれ以上手が動かせなくなってしまうユリです。

 【前からなのに、オマ○コからビラビラした肉襞が見えるよ。】

 『あぁ、ゴメンなさい。許して。』

 【おや?乳房に手型が残っている。】

 ユリは慌てて胸を隠します。

 【サイズアップは妊娠したからでは無いようだね?】

 ユリの手を払い除けながらむんずと掴み右に捻ります。

 『ヒッ、痛い。』

 またしてもユリの知らない真一の振る舞いです。
 掴んだ手を離すと、手を振り上げ乳首を平手で霞めるように叩きます。

 『ぅう・・・』

 痛みの残る乳首に真一は舌を這わせます。
 叩いた時とは打って変わって優しい舌使いです。
 乳輪をゆっくり時計回りになぞります。
舌先の微妙なバイブレーションがユリの乳房を揺さぶります。

 『うぁあ。』

 常務に開発されたユリの性感は自身の身体を裏切って感じ始めています。
 追い打ちを掛けるように、真一は乳首を啄ばみます。


【明日晴れるかな?】(33)

  【その椅子に座って。】

 【で、俺に何か言う事は?】
 
 【黙ってないで、何か言いなよ。】

 夫のひと言一言がユリを追い詰めて行きます。
 今では夫に大方知られてしまっていると、ユリは覚悟していましたが、その夫が核心をはぐらかしているのです。
 それに耐えじっと俯いたまま、身動ぎもしません。ただ俯いて泣くだけです。
 
 【何時からだ?】
 ここで初めてユリが口を開きました。
 
 『お願いです・・・・離婚して下さい。あなたをずっと裏切っていました。こんな私を離縁して下さい。』

 ユリは心の中で血を吐きながら夫に言いました。
 【俺は、何時からだ。と聞いたんだ。】

 ユリの気持ちを忖度せずに真一は再度聞きます。
 ユリは一層惨めな気分です。
 妻が不倫をしていたのに、夫は怒りもせず、切っ掛けを聞こうとするのです。
 自分は、その程度の妻だったのか・・・
 仕出かした事を棚に上げ、ユリは夫に怒りと自分に対する哀れさを感じてしまいます。
 
 『異動して少し経ってからです。』
 それでもユリは答えました。
 
 【離婚してどうする、一緒になるのか?】
 『いいえ、一緒になんかなりません。』
 【どうしてだ?好きだから、ずっと俺に隠して関係を続けていたのだろう?】
 夫は、誤解しています。ユリが好きで常務と関係していたと思っています。
 『違います。あんな人好きでは有りません。誰があんな・・・・人でなしを・・・』

 真一は小首をかしげて、違う質問をします。
 【好きでもないのに、抱かれていたのか?・・・・ユリねえは、セックス好きの淫乱妻だったと言うのか?】
 
 夫にそれを言われると思いましたが、いざ言われると凄く惨めです。
 『違います。違うんです。』
 【何が違う?俺を裏切り、今年の初めからずっと、アイツに抱かれていた。その手で食事を作り、その顔で俺に笑い掛ける。よくそんな事が出来るな。!】
 
 ユリは反論できません。事実常務に抱かれた直ぐ後に、夫の食事を作り、夫の他愛のない冗談に笑う、そんな生活でした。
 どれ程辛かったか、どれ程罪悪感に押し潰されそうになったか。どれ程泣いたか。今となっては、言っても先の無い事です。
 夫を騙していたと言う、事実だけがユリの前に有るだけです。
 自分が真一をどれ程愛しているか、その生活を守りたかったか、言っても意味の無い事でした。
 初めに凌辱された時に、夫に相談するべきでした。
 相談出来なくても警察に行くべきでした。
 世間に知られたくない。まして愛する夫にだけは言えない。
 そう思った事が、ボタンの掛け違いでした。
 あとは良いように常務に翻弄され、彼の女になってしまったのです。
 この事について、夫に言い訳を言えません。
 嫌なのに、身体を重ねる度に常務に馴らされてしまう。
 ユリは女のカラダの哀しい性に啼きました。
 物語に中だけの虚構だと、想っていたのに自分に降り懸かって初めて自分の身体を疎ましく思いました。
 汚れた指で夫に触れ、夫にキスする自分。
 汚れた指で、夫の食事を作り、夫の汚れものを洗濯して綺麗にする。
 普通の主婦が当たり前のようにする事が、1つ1つ夫を汚していたのです。
  
 【その子は・・・・だれの子だ。】

 決定的な一言です。
 これに答えれば、真一はもう手の届かない所へ言ってしまうでしょう。
 答えなければなりません。

 『・・・・あ・・・あの・・・。』

 しかしユリの口から直ぐには言葉が出ません。




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【明日晴れるかな?】(32)

 全裸で、居間の床に横たわっていたユリでした。
 ユリの股間は白濁液で汚れています。
 ユリは疲れ果てクタクタになった上体を起こして、夫の真一の姿を確かめます。
 『よかった。・・・あなた、ゴメンなさい。』
 夫は眠っています。ユリは安堵のため息を吐きました。

 【ユリ。・・・】

 ユリはハッと顔を上げました。真っ青な顔です。
 そこには、薄らと目を開けて横たわる夫がいました。
 哀しみの色が浮かぶ目でした。

 『ひぃぃ・・・あなた・・・。』
 それきりユリは絶句してしまいます。
 
 次にユリが気付いたのは、寝室のベッドの上でした。
 きちんとパジャマを着せられ、寝かされています。
 (・・・・?・・・真ちゃん?・・・あぁ、どうしよう。・・・)

 ユリは、パニックに襲われました。
 服を着せて、ベッドへ寝かせてくれたのは夫に違いありません。
 あのような格好で床に寝ていたのを、完全に知られた訳です。
 常務の精液をオマ○コから垂れ流して伸びていたのです。どのような言い訳も効きません。
 当然横を確かめますが、夫の姿は有りません。
 いえ、温もりどころか、シーツの皺も無いのです。

 (・・・何処。真ちゃん。・・・・居なくなってしまった?・・・・うぅ・あぁぁ・・)

 真一は出て行ってしまったのでしょう。
 妻の裏切りに耐えられる筈が有りません。怒りよりも絶望が夫を、この家から去らせたのでしょうか。

 ガサッ!

 台所で物音がしました。
 ユリは飛び起きて、ドアに駆け寄ります。
 ドアを開けた途端に、良い匂いがユリの鼻腔をくすぐりました。
 コーヒーの馥郁たる匂いです。
 夫が淹れるコーヒーの芳しい匂いです。専用のパーコレーターで淹れます。
 ドリップ式やサイフォン式では無く、粗野な方式です。
 浅炒りの豆で粗く挽いて、パーコレーターに入れ、火に掛けます。
 コーヒーの品種には拘らず、飲みたいモノを飲む。

 夫が良く言っていました。

 【産地や品種、淹れ方に拘るのは女だね。コーヒーが日本で普及したのは、アメリカ人のせいだよ。そのアメリカで普及したのは、西部開拓時代に、野外露営で硬水を飲み易くするためだ。コーヒー豆をフライパンで煎って砕いたモノをビリーにぶち込んだ。飲む時には首に巻いたバンダナで濾して飲む。その程度の飲み物だよ。】

 【そんな粗野な作り方をする飲み物に、産地がどうの、品種がどうの、言っても意味無いだろう?アラビアでも砂糖をぶち込んで甘くするコーヒーだよ。コーヒーの味なんて関係無いじゃないか。俺はね、コーヒーだけは蘊蓄を気にせず、好きな時に好きなように、好きな方法で淹れ呑む。】
  
 勢いで飛び出して来ましたが、いざ台所のドアに手を掛けると、躊躇してしまいます。
 どんな貌で夫に会えば良いのか。どんな言葉を掛ければ良いのか?途方に暮れました。

 涙を溢しながらユリはそっとドアの前から踵を返します。
 夫に逢う資格を己の罪で無くしてしまった。
 一時の快楽で我を忘れて狂ってしまった。
 そして取り返しのつかない事を・・・お腹の子には罪は無いけれど・・・
 
 お腹の子の事を想うと死ぬ事は選択出来ません。
 夫の前から消えるしか残されていない。そうユリは覚悟しました。
 祝福されない子・・・・この子と2人で生きて行こう。
 この子を見る度に夫を裏切った自分を責め続ける事でしょう。
 しかし、ユリには堕胎は絶対考えられません。
 まだ人間らしい形さえ成していない我が子。それでも、母性の芽はユリに湧いています。

 廊下にユリの流した涙が点々と続いています。
 さして広くない我が家、その廊下を身の回りの品を詰めたバッグ一つ持ったユリが歩いています。
 
 【ユリ。】
 玄関で呼び止められました。
 真一です。
 ユリは振り返る事も出来ずに、身を竦ませました。
 
 【何している、こっちに来なさい。】

 普段の夫からは言われた事の無い強い口調です。
 ユリは抗いようもなく、夫のいる台所へ入って行きました。


【明日晴れるかな?】(31)

 『あぁ、ゆるして・・・夫の前では・・・許して下さい。』

 ユリは力なく厭々と頭を振っています。
 常務はユリの頭を掴み、真一の前に引きずって行きました。
 引きずられたユリは両足を投げ出し、両手で体を支えて夫に接触するのを防ごうとしています。が、真一の頭の上に覆い被さる格好になっています。
 ユリの乳房が真一の顔に触れるか触れないかのギリギリの状態で耐えていますが、常務は苦しげに喘ぐ、ユリの頤を片手で上げさせました。
 その体勢のままユリの鼻先にチ○ポを突きつけた常務は、。亀頭の先の先走りの液を擦り付けて顔を汚します。
 さらに恥辱を与えるために、柔らかい唇の感触を愉しんだ後は、鼻の穴、瞼、耳の穴へと亀頭を動かしありとあらゆる穴を汚し捲くりました。
 今まで常務から、この様な仕打ちを受けた事のないユリは、目に涙を浮かべ屈辱に顔を歪ませています。
 歪んだユリの頬は真っ赤に染まり、単純な嫌悪感ではない何か別の感情を持っているようでした。
 何度も馴れ親しんだ常務の性器では有りましたが、夫の顔の上で汚される事に、ユリは異常な興奮を覚えてしまいました。
 屈辱的で背徳的な状況はユリの脳髄を焼き、白く染め上げていきます。
 常務が亀頭の先で強く押すと、ユリは自然と小さく口を開き、更に常務が押し込むと口いっぱいに常務の性器を受け入れてしまいました。
 受け入れてしまうと、ユリは躊躇いを捨て、舌をチ○ポに絡めて啜ります。
 深く銜え、吐き出し、茎胴を舌先でチロチロ舐め回し横銜えしている姿は、夫の目の前で他人棒を銜える人妻の姿とは思えません。
 とても卑猥な姿です。
 ユリの流した涎は真一の胸元に垂れて、ベタベタに汚しているのです。
 暫くそのままにさせていた常務は、ユリの頭をまた押さえました。
 『あん・・』
 ユリは上目遣いで常務を見上げました。なぜ止めさせるのか、ユリの目はそう言いたげでした。
 常務は身振りでユリのカラダを入れ替えを指示しました。
 ユリはいそいそと、夫の顔を跨ぐように尻を常務に向けます。
 眠っている夫が目を覚ましたら、目の前にパックリと肉の襞を開いた妻のオマ○コが見えたはずです。
 その先端には豆のように膨らんだクリトリスが顔を出し、涎を吹き零す膣口も暗い穴奥を見せています。
 
 ユリの腰をガッシリ掴んだ常務は、亀頭をユリの膣口に嵌め込むと、肉が練れて来るまでじっとしていました。
 焦れてきたユリは後を振り向き、切ない顔を常務に向けます。
 素知らぬ顔の常務に、またしても焦燥感を煽られて、声に出して求めてしまいました。

 『おねがい、欲しいの。早くください。焦らさないで。』

 この頃では、声に出して言う事で一層感じてしまう事をユリは自覚しています。
 常務の言葉嬲りで感じてしまう女にされている。
 そう思うだけでも、より快感を味わう事が出来る。そんな女になってしまっているのです。

 【ユリはイヤラシイ体をしているな。チ○ポを銜えて離さない。】

 常務のこんな言葉でも感じてしまいます。

 【出産したら、ユリのオマ○コの改造手術をしよう。小陰唇の縮小手術だ。この頃ビラビラが肥大して大陰唇からはみ出しているからな。ユリも恥ずかしいだろう。】

 『そんな・・・言わないでください。』

 【旦那も本当は、気が付いているんじゃないか。ユリのオマ○コが変わってしまっている事を。】

 『うそよ、そんな事。』

 でも、ユリも内心気にしているのです。
 1人でお風呂に入った時に自分の身体を点検する習慣が身に付いているのです。
 処女の頃はそれ程気にした事は無かったのですが、男性に抱かれるようになって、気になりだしたのです。
 色・形・体臭等、気にしだすと悩む事が色々出て来るのです。
 自分のあそこは、男性にどう見られているのか? 
 他の女性と比べられているのではないか? 
 変じゃないのか?
 匂ったりしていないか?
 女性は特に気にするものです。
 ユリも同じでした。
 真一と結婚してからは多少疎かになっていたかもしれません。
 嫌われるリスクが夫婦には小さいからです。
 結婚はユリに安定をもたらしましたが、その反対に女としての緊張を奪ってしまったのです。
 恋人時代は、常に彼に気に入られようと、努力を重ねています、しかし、1度婚姻届を提出しますと、その地位は結構強固なものとなるのです。
 ユリが一気に女を失わなかったのは、結婚後も働いていた事と、子供がいなかったからです。
 しかし、今回はそのユリの女が、常務を招き寄せてしまったのです。
 ユリはその気が無かったのに、無理やり常務に女に戻されてしまったのです。
 常務に女の身体を開発されて、自分の奥に潜んでいた性に気付かされ、性の悦びを知りました。
 夫に申し訳ないと想いつつ抱かれる事に溺れたのです。
 そして・・・鏡の中のユリの身体は変っていました。
 記憶の中の自分の身体より丸みを帯び硬さの取れている肉体。
 男好きと言うのだろうか、しっとりとした肌・・・吸い付く様な肌に代わっていました。

 『ひぃぃ・・・嘘よ、うそ。』

 ユリが見たモノは、自分の股間からはみ出して見える紅い肉襞でした。
 慎ましやかな佇まいが、卑猥な身体に代わっていたのです。
 これでは夫にばれるのは時間の問題です。
 この日以来、夫の求めに何かしらの理由を付けて拒みました。
 しかし、夫の事を嫌いになった訳では有りません。こんな、身体になってしまった自分を許して欲しいのです。
 暗がりでなら真一に抱いて貰えます。暫くしてから、数度己のカラダの変化を隠して夫と抱かれました。
 その夜はユリの心にかってない温もりをもたらしたのです。
 朝になると消えてしまう幸せでした。
 常務の女に代わる時間帯です。己の肉体に心が負けてしまう時間です。
 銀行へ足を踏み入れると自然と淫靡な気持ちが湧き起こり、夫の事が頭から拭い去られてしまうのです。
 
 そして、思い知らされました。
 夫の事を忘れた振りをしている自分に。無理やり心を閉ざした自分の哀しみに。
 変ってしまった自分のカラダに、それが表れていたのです。
 己の罪深さをユリは、常務に自覚させられました。絶望がユリを襲っています。


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プロフィール

HIRO(S)

Author:HIRO(S)
HN:HIRO(S)
年齢:秘密
性別:秘密
地域:関東地方
動機:gooで削除されたので。
一応フィクションとしてますが、ナイショ
写真は・・・・いけないんだぁ

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