【プリムローズ】(11)

 奇妙なシンクロニティ、これ以上シンクロしているとマズイ。そう思う自分とベスになった自分が戦いを始める。
 ベルトで打たれる度に皮が裂け、骨が軋む。デジャブな光景、昔見た西部劇の1シーン。両手両足を柱に縛りつけられ背中を剥き出しにされる西部の女。
 長くしなやかな鞭が女の背中をズタズタに引き裂く。悲鳴をあげやがてガックリと失神状態に陥る女。そのシーンがまざまざと思い起こされる。
 そのシーンは幼い自分に衝撃を与えた。悪い事をした女は鞭打たれる。無意識のうちに深層心理にインプットされた。
 成長するにつれて教育の現場において躾と称した過度の指導が行われた。部活動においてもシゴキが日常茶飯事に行われた。
 ミスをする度にあのシーンが頭に浮かび恐怖した。
 やがて詩織は罰を受ける恐怖に委縮するのではなく、ミスを無くす、物事を完璧にこなす事で克服しようとし、実践した。
 それは勉強に於いても同じで、その努力により成績は常にトップだった。
 詩織の深層に於いて成績が下る事は、即、罰を受ける事に繋がっていた。
 ある日の部活動・・・・その日は体調が優れず、何時もの詩織の動きでは無かった。指導者はそれが、普段熱心に練習し成果を上げていた詩織の怠慢に写った。普通の生徒なら問題にしようとは思わない事でも、こと詩織に向っては厳しく出た。また例え厳しくても期待に応えるのが詩織だ、と、指導者は思いこんだ。
 次々に打ち込まれるボール、右に左に走らされ前後に動かされる詩織。詩織がコートに倒れ込むのも時間の問題だった。
 倒れても指導者は止めない。倒れ込むカラダの周辺にボールが集中してくる。荒い息の中で詩織に突然インプットされた恐怖が湧き上がる。
 硬式球がカラダに当たり始め詩織の柔らかでしなやかな肉体に、無数の痛みを与え続けた。
 指導者の打球は正確過ぎた。同じ個所に当たり痣を作ってしまう。
 詩織は恐怖に身動きが取れず甘んじてその打球を受け続けた。止めてくれるように頼む考えが浮かばなかったのである。
 これまでの完璧を目指す意識が途中で中断する発想を奪っていたのだった。
 不幸な事に指導者には泣き言を漏らさぬ詩織が、生意気な女だと映り、根比べの様に感じ中断するタイミングを計りかねていた。
 それは偶然の悪戯。
 打球が詩織の股間を直撃した。
 『ひぃ・・・あぁ・・』
 衝撃と痛み。それまで上げずにいた呻き声が洩れた。
 容赦のない正確な打球が次々に当たる。さらなる不幸は指導者が女性だった事だ。
 男性指導者なら股間に当たる衝撃と激痛を看過し得なかったに違いない。が、女性指導者には余り気にする事でも無かった。
 詩織は衝撃と痛みが次々に自身のカラダに打ち込まれる事を、あの罰と同じだと感じていた。
 (あぁ、わたし・・罰を受けている。身体中が痛い、あの人もこうだったの?痛い、痛い。あぅ・・・痛い・・イタ気持ちイイ。??)
 股間の痛みが疼痛に変わり、ジンジン腰にまで痛みとは違う感覚を広げて来た。
 女性が机の角に股間をぶつけて、初めて快感を覚えオナニーに目覚める話を良く聞く。
 それと同じ事が詩織にも起こった。女性は普通の状態での性への目覚めだが、詩織は罰を受けていると思い込んでの快感の目覚め。
 異常性愛への扉が無理やり開かれた瞬間だった。痛みの中で感じる快感。これもカラダへインプットされてしまった。
 ただ詩織と指導者にとってこれ以上のドラマを生まなかったのは、詩織の失神によって冷水を浴びせられた指導者が慌ててシゴキを中断し、病院に担ぎ込んだからである。
 その事が以後詩織に過度のシゴキが加えられる事を掣肘し、詩織もその事を忘れ去っていたのである。
 しかし、白人の女性・・・ベスがベルトで打たれ、深層心理が呼び起こされ、ベスが快感を訴えた事と打嫡音が、カラダにインプットされた快感をマグマのように何時噴き出すか判らない状態まで高め、噴火の時を今や遅しと待ち構えていた。


【疑惑のテンポラリーファイル】(5)

 我が家に着き、妻の着替えを探します。男はこう言う時に役立たずだと思い知らされます。
クローゼットの中や箪笥、衣装ケースなどアチコチ開けてしまいました。
 今まで、自分の下着が当然の様に用意されていた私。整理整頓されていたのですから直ぐに探し出せるはずなのですが、妻がどんな風に仕舞い込んだか判らず全部開けてしまったのです。
 当面必要なのは下着類とパジャマかネグリジェの類でしょう。こんな事なら娘に頼むべきだったと反省しながら、娘の携帯に電話を掛け来て貰うことにしました。
 娘が来る間じっと待っているのも間抜けです。
 私は例の黒い下着を探す積りです。
 普段は気にも留めない妻の下着、とにかく後から来る娘に気取られないように上から順に取り上げてみる事にしました。
 妙な物で、下着を着けた妻を見ても最近はドキドキする事が少なかったのに、引き出しの中の下着に手を伸ばした時には凄くドキドキしていました。
 お尻全体がスッポリ隠れる下着が主です。最近亡くなられた方の代名詞のような下着は見受けられません。
 色もベージュかグレーが殆どです。
 家庭の主婦はこんな物なのかな?派手でエッチな下着は結婚前の女性が身に付けるものなのか?ホッとするようなそれでいて少し残念な気分です。例の下着も見つかりません。
 妻もまだ40代前半の女。少しは艶かしい下着を着けて、私を挑発して欲しいなどと考えてしまうのです。
 けれど女性の下着は何でこんなに数が用意されているのでしょう?小さく丸めて畳んである下着の数は想像を超えた数です。何より丸めて畳む収納の仕方が若い子のやるような事に思えてニヤケてしまいました。
 もうそろそろ娘が来る頃です。探索は終わりにしようと、最後に一番下から抜き取ってみました。
 【・・・・ぇ?】
  黒いレースで出来た透けて見える下着が出てきました。クロッチの部分でさえ目を凝らせば中が見えてしまいそうな物。
 私が1度も見ていない下着。単身赴任中に買ったのでしょうか?多くの女性は下着に凝ることは判っていますが、これは凝る、と言うレベルを超えた物に思えます。 
そんな馬鹿な!
 自分で見た物が信じられません。
 何かの間違いだと思い込もうとしましたが、目に焼きついて離れません。こうなると他の場所も調べたくなります。クローゼットの取っ手に手を掛けた時、玄関のチャイムが鳴りました。
 慌てて娘に必要な物を任せ私は居間に。
 居間にはノートパソコンが2台さりげなく置いてあります。
 1台は私が残していった古いパソコンです。もう一台は娘達の誰かが置いていった物かも知れません。
 手持ち無沙汰の私はまず自分の古いPCのスイッチを入れました。起動ロゴが出てから立ち上がってくるまで時間が掛かります。その当時良くこれだけ長い時間をじっと待って我慢していたものです。
 隣のPCにも火を入れてみました。
 流石にこちらは起動が早い。パスワード入力画面が表示されています。
 【パスワードか?これでは起動できないな。】
 自分の古いパソコンも漸く立ち上がりました。
 HDの使用容量を確認すると、赴任前とそう変わらない様子です。次々とフォルダーを開け中身を確認します。
 マイドキュメントを開くと、word、Excel等と分類したフォルダーがあります。これも当時のままです。
 IEを起動してみました。今でも接続されています。
 お気に入りをクリックし表示させるとこれもまた変わりがありません。
 私が分類したまま。「検索」「リンク」「NTS」「F1」「F2」「F3」等です。
 「検索」は検索エンジンのHP集、「リンク」は文字通り例えば法律関係のリンク集のHP。です。
 それ以外は、恥ずかしいのですがアダルト関連です。
 「NTS」はネット小説のHP又はブログ集になっています。この当時のお気に入りは私と同じひろ・・・HIRO(S)のHNでタイトルが『天使の様な悪魔の声で』という素人の作った官能小説のブログでした。
 創作作品が『妻の浮気・不倫』をテーマに書かれていたので、面白半分に読んでいました。
 まあ、素人ですからこんなものでしょう。と言うレベルでしたが。
 「F1」は画像関連。「F2」は動画関連。
「F3」は空のフォルダーです。
 次に履歴を確かめようとインターネットオプションを確認したら、履歴保持日数が999日にセットしたままです。
 通常は20日なのですが面白半分に999日にセットしそのままになっていたのです。
 履歴を開くと凄い日数のデーターです。
 一々開いて見るのも面倒で直ぐにIEを終了させてしまいました。
 Word、excelフォルダーに戻り中を確かめます。
 〈PW〉と名付けられたファイルが目に着きました。何の気なしに開けてみると幾つかの英数字の組み合わせとその隣に1セル開けて数字が記入されています。
 【これだ!】
 この組み合わせに意味が有るとすればIDとパスワードでしょう。印刷ボタンを押しました。
 それをどうするか?このままでは何の役に立たず、かと言って何時までもこの家に居る訳には行きません。今夜一度赴任先に戻り明日には会社に出社しなければならないのです。
 私はそれぞれのPCの電源を切り娘に尋ねました。
 【このノートパソコンはユミのか?ミク?ミキ?】
 『さあ?お母さんのでしょう?ミクもミキもアパートに持って行ったはずだから。』
 【ふ~ん。お母さんがパソコン・・・前は触るのも怖々としていたのに。】
 『お母さんちょっと前から携帯を持つようになるし、PCも覚え様としたんじゃないの?一人になってから淋しかったんでしょう?』
 淋しかった。娘の何気ない言葉が何故か気になります。パートに出るようになって、自分で好きに使えるお金を手にしてから、買ったのでしょうが、それとあのドギツイ下着が重なり合うようで不安な気持ちが沸き起こります。
 少し前からの妻の態度の変化。気付かない振りをしていた訳では有りませんが目を逸らしていたのも事実です。
 私の心の奥底に妻への疑念が澱のように溜まった瞬間です。


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動機:gooで削除されたので。
一応フィクションとしてますが、ナイショ
写真は・・・・いけないんだぁ

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