回想録 ~二人の玲子~ 29

 『杉本さん、申し訳ありませんが、主人の罪を償えません。いえ償いたくない、ただそうすると、この人を監視する人が居なくなります。多分あの家を処分しなければ慰謝料も払えないと思います。お金で済ますつもりでなくてもあの家に住み続けられるはずもありません。だから・・・先生が赦してくれるなら、家が処分できるまでここに2人を置いて頂いて、監視したいのです。勿論昼間の行動を把握するのにGPS携帯を持たせますし、定期的に行動報告をさせます。そうすれば、綾子さんと会う事を防げると思います。慰謝料が完済出来たら私達は即離婚します。こんな人からお金を貰いたくないので、明日にでも離婚届に印鑑を押させ。何時でも提出できるようにして置きます。』
 【判りました。こちらの先生はそれで宜しいのですか?】
 玲子の意図が良く判らないが、行きがけの駄賃だから、ここは玲子の思い通りにさせようと思った。
 「協議に顔を連ねた以上、何らかの支援をする積もりでした。玲子さんが何を考えているのかわかりませんが、部屋は幾つか空いてますので、少しの間なら預かります。」
 「それで杉本さんの所は・・・どうされるのですか?」
 【判りません・・・正直どうしたら良いのか・・・こいつを見ると悔しさで涙が出そうです。それから憎しみの心が起こります。・・・なぜだ?なぜなんだ?この言葉が体中を巡り苦しくなります。・・・どうしたいのか、どうすれば良いのか?・・・答えが永遠に出ないような気もしますし、綾子を赦してあげる気にもなりません。かといってこのまま離婚するだけでは、この苦しみから解放されない気もします。手元に置いておくのか、別居するのか・・・離婚するのか・・】
 杉本の正直な真情の吐露だった。
 結婚したのだから愛情があったはずで、お互いを尊重し信頼していたのに違いない、それが1度の過ちで崩れ去った。妻がどんなに許しを請っても、その気持ちが真実なのか、取り繕うための言葉なのか、まったく信用できなくなっている。
 愛しているのは自分だけと言われても、白々しく聞こえ、その言葉を吐いた口で田中のモノを銜え、睦事を発したと思うと、堪らなくなる。
 殴って済むものなら、気絶するまで殴ってやりたい。洗って落ちるものならば皮膚が皺皺になるまで風呂に浸けて洗いたい。
 だが、見えない汚液が妻の体に染み付いているのだ。自分以外受け入れた事が無かったはずの綾子の性器に、口に、顔に、乳房に、お尻に、太股に田中の精液・汗・唾液が染込んでしまった。
 もう二度と戻らない、以前の綾子・・・妻の体は汚れてしまった。
 この先、妻を赦せる日が来るのだろうか?妻を抱こうとする時、脳裏に他の男を受け入れている姿が浮かばないか?もしかしたら、自分に抱かれていても妻が思い浮かべるのは、田中のカラダか・・・心か・・・。
 苦しい・・・痛い・・・考えれば考えるほど絶望に堕ちて行きそうだ。
 涙が止め処なく頬を伝って流れていた。
 人前で泣くなど、子供の頃以来だろう。


回想録 ~二人の玲子~ 30 PageTop7年目の誘惑(完)

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