回想録 ~二人の玲子~ 41

 【奥さん・・あなた、もしかして同じことを考えていますか?・・・田中の前で先生に抱かれるつもりじゃないですか?】
 始めて田中が顔を上げ、玲子を見ました。
 『・・・主人を・・ここに住まわせて・・・私は・・先生と夫婦のように・・振舞う積もりでした。・・・ええ、そうです。自分の妻が他人に抱かれる辛さを思い知らせたくて・・でも、失礼ながら・・杉本さんに抱かれたくは・・・ないのです。・・抱かれるなら・・す、好きな人に抱かれたい・・・そう思いました。・・先生を・・・好きになっていました。先生が私の事をどう思っているか、判らないのですが・・・・身体だけじゃなく心まで先生に捧げたら・・この人にもショックじゃないかと・・・』
 結局考える事は一緒で自分が受けた屈辱をどう晴らすか。考えた事は精神的に痛めつける事でした。
 物理的に痛め付けると傷害事件として告訴されるかもしれないので、精神的に苦痛を与える道を選んだと言う事だ。
 復讐が済んだら、直ぐにでも離婚し自由になる。それが今の玲子が考えた全てで、その後の事は未定だった。
 先生に抱かれる所までは想像できる、でもそれ以後のことは何も想像できない、一度きりで終わるのか、関係が続くのか。
 玲子は先生と関係が続く事を願っていたが、先程の話を聞いた後では、無理だと思った。
 先生の思いはいまだに亡くなった奥様にある・・例え不貞の妻であろうと、玲子さんにある。いや、玲子さんというか、玲子さんと美穂ちゃんに有る。
 それがトラウマとなり、再婚もしていない。
 信頼していたものに裏切られたショックは、年月が経っても癒されはしなかった。
 自分もそうなのだろうか?
 実はそれ程ショックでもない自分に少々驚いていた。
 事が起こる前に女性誌で読んだ時の感覚と、今では明らかに違っている。
夫の不倫に、もっと取り乱すのでは無いかと思っていた。案外冷静で、むしろ冷めていた。
 つまるところ自分は、田中を愛してはいなかった、その想いが募る。間違った結婚と言う思いだけが玲子に付き纏う。
 その代わり、日増しに大きくなる、先生への慕情が綾子の一言で堰を切ったように迸ってしまった。
 恋愛感情か?と言われれば違うと答えざるを得ない。友情?それも違う、多分シンパシーに近い。そう自分では分析した。
 (そう、これは先生への同情よ、同じ名前の奥様に代わって先生を慰めたいと言う、同情。それ以上でもそれ以下でもない。きっと、そうに違いない。)
 玲子は自分の気持ちと会話を試みるが、答えは返って来ない。
 自分はどういう答えを期待しているのか、薄々感じていたが、それを認めるほど子供ではない。
 純真な心を少しづつ失ってきた。
 夢見る少女は、大人への階段を登る過程で、自分から居なくなってしまった。
 男に抱かれ、心と乖離したカラダが、夢見る少女を心の奥底に閉じ込めていく。
 悦びに震えるたびにどんどん離れてしまう。
 そうして、夫婦を続けてきた。
 もう、あの少女は自分に答えてくれない。
 ならば、自分自身の体で先生を感じよう。
 悦びの後の答えを。
 『先生・・・私を抱いてください。奥様と同じ様にして下さい。私を玲子さんだと思っても構いません。もう一人の玲子だと思って下さい。』
 そこから見えてくる何かを期待して玲子は言った。


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写真は・・・・いけないんだぁ

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