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【プリムローズ】(14)

 『ご馳走様でした、また遊びに来ます。・・・ベスお元気で。』
 翌朝6時、私はオジサンの家を後にしていた。
 散歩する老夫婦、ジョギングする中年男性、犬を連れて歩く老人、犬に引き摺られる老婦人。
 週末の朝がこんなにも清々しいのは久しぶりだ。
 これから家に帰るのは勿体ない、故郷の母に逢いに行こう。
 母に逢って何がしたい訳でも無い。ただ無性に家族に逢いたい。亡き父の墓も詣でる積り。
 『お父さん、あのね・・・』父の墓にプリムローズを供えた。 
 『お父さんに雰囲気が良く似た人とお付き合いする事になったの、ごめんね。』
 柄杓の水を墓石に掛ける。
 『その人には奥様が居るの。でもね、奥様にこの人を宜しく。と言われて居るの。だから心配しないで。・・・ううん。愛しているのかどうかは分からない、でも好きよ。その人と一緒に居ると落ち着くの。今言えるのはそれだけ。』
 (詩織綺麗な花だね。・・・プリムローズの花言葉を知っているかい?プリムローズの花言葉は、青春の始まりと悲しみ。・・・恋の希望・・・若い時代と苦悩・・・初恋・・・あこがれ・・・一杯有るけど、詩織はどれに当て嵌まるのかな?お前の人生はお前の物だ、人生を愉しむ事だ。)
 父の言葉が聞こえたような気がした。貌をあげ辺りを見回す。
 父の墓の隅でプリムラが咲いている。
 プリムラの花言葉は富貴、永続する愛情、神秘な心、運命を開く、可憐、うぬぼれ。
 同じセイヨウサクラソウなのにこんなにも違いが有るの?
 (そうだよ。ドイツの伝説に昔々ドイツの片田舎に病気の母と暮らしているリスベスと言う少女がいた。母をなぐさめようと、野原にサクラソウを摘みに出かけた日のこと。花の妖精があらわれた。リスベスに不思議なことを教えてくれた。「サクラソウの咲いている道を行くとお城があるわ。門の鍵穴にサクラソウをさしこむと、扉が開きます。さあ、お行きなさい!」リスベスがお城に行くと…そこには花の妖精が待っていてくれた。たくさんの美しい宝物をリスベスにプレゼントしてくれた。リスベスは母にこの宝物を見せた。母はほほに赤みがさして、病気も治った。サクサソウが春を迎える鍵と言う隠喩なんだけど、案外詩織の身近に起こる事の暗示かも知れないね。)
 母は病気になっていない。とすると・・・ベス?
 『ありがとうお父さん。私自分の選択が間違っている。止めた方が良いと思っていたの。でも、運命を開く・・2人の運命を私が開いてあげるのね。そして永続する愛情・・私が受けるのかベスが受けるのか判らないけど、もう迷わない。・・・そう言えばもうひとつ花言葉が有ったわ。私を信じて・・・あなたの娘を信じてね。』
 プリムラが風に揺れている。サヨナラと手を振っているようだ。それを機にお墓から立ち去った。

 『お母さん。霞が関辞めても良い?』
 『どうしたの?・・・詩織が頑張って入ったのだから、辞めるのも詩織が決めるのよ。お母さんはそれを見守るだけ。』
 『ねえお母さん、お父さんが死んで随分経つけど再婚とかしないの?』
 『そうねぇ~、良い男居ないし、再婚はしないわ。』
 『お母さんカラダが疼かない?』
 『馬鹿、何を言うのこの子は。』
 『私も処女じゃないし人恋しくなる気持ちも判るし、カラダの欲求も有るわ。お母さんにそれが無いなんて信じない。』
 『あのね詩織。・・・仕方無いなぁ。お母さんは再婚する気は無いと言ったのよ。再婚しないけど、欲しい時には呼び出してする男位いるから大丈夫。』
 『やっぱり男が居るんだ。お父さんに悪いと思ったこと無い?』
 『無いわ。だってお父さん亡くなる前に私に云ったもの。若い君を縛り付ける気は無い。自分の人生だ自分で決めて愉しみなさいって。だから決めたの。お父さん以外の人は愛さない、男に抱かれていてもお父さんに抱かれていると思っているの。罪悪感なんて無いわ。』
 『心まで抱かれたと思った人はいないの?心を奪われないの?』
 『無いわよ、今でもお父さんは何時も傍に居るもの。相手の顔がお父さんにしか見えないの。』
 母は父を心の底から愛しているのは判るけど、この感覚はまだ私には判らない。
 そう言う相手が私にも現れるのだろうか?
 『で、詩織はどうなの?オ・ト・コ』
 『ええと・・・昨夜ミストレスになった。妻子が居る人だけど。』
 怒られると思って黙っている積りだったけど、父に話して母に話さないのもどうかと思い直した。
 『どんな人?』
 『雰囲気がお父さんに似ているの。奥様は外国人。』
 『ふ~ん。お父さんに似ているの・・・じゃあ何も言わない。赤ちゃんが出来たら子育て手伝うわよ。』
 『普通の親は妻子持ちと付き合うと怒るでしょう。なのに子育て手伝うなんておかしくない?』
 『え~わたし普通の親よ。娘の子供を育てるのを手伝う事がおかしいの?』
 『お母さん、論点がずれている。普通の親は妻子持ちと付き合う事を問題にするでしょうが。』
  『問題にして欲しいの?理解ある親なんだけどなぁ?』
 『ああもう。お母さんがこう言う性格の人だとは思わなかった。』
 『その性格を詩織は引き継いでいるのよ。娘が選んだ人がお父さんに似ているなら安心だわ。お父さんなら間違いないモノ。』
 『どう言う理屈なの?』
 『理屈じゃないの、お父さんと私の子を信じないでどうするのよ。一杯エッチした結果勝ち抜いたお父さんの優秀な精子、そのなれの果てがあなたなのよ。』
 『普通の親はそんな事も言いません。・・・で、その時はどんな格好でフィニッシュしたの?』
 『え~バックだったかなぁ?・・・何を言わせるの、もうエッチな娘ね。』
 母は何時もの母だった。冗談なのか本気なのか良く判らない。
 幾つもの顔を持っていて容易に素顔を見せてくれない母。その母が仏壇の前で父の位牌を抱いて泣いているのを見たのはこの間のお正月。
 もう何年も前に亡くなったのに今でも本当に愛しているのね。
 (嬉しいよ。)
 あ?お父さん?
 この家には今でも父が居る。これなら母を一人にしても安心だ。
 『ねえ、お母さん今夜一緒のお布団に寝てイイ?』
 『おっぱい吸う赤ちゃん?』
 もう!お母さん・・・・吸っても良いの?


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