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【疑惑のテンポラリーファイル】(11)

 妻が入院してふた月が過ぎようとしていました。相変わらず忙しい毎日でPCの解析も遅遅として進みません。
 今日は久しぶりに妻の顔を見に行く事が出来ます。
 娘達に連絡すると、娘達はそれぞれに用事が有り行けないそうで、私だけが行くことになりました。
 電車の中で、これまでに判った事を反芻してしまい、益々気が重く、発覚前の妻を待ち焦がれていた気持はどこへ行ってしまったのか、私達はもう終わりなのか。車窓からぼんやりと外を眺めてそんな事を考えてしまいました。
 妻の事を考えると、何故?どうして?何が原因だ。・・・そればかり考えて堕ち込むばかりです。
 駅に着いてホームをトボトボと改札口まで時間を掛けゆっくりと歩いて行きます。
 出来ればここから引き返したい気持と、妻に問い質して真相を知りたい。相反する気持ちが襲って来ます。
 駅を出た所に手打ち蕎麦の店が有ります。
 昼近いので腹拵えをしようと入りました。
 天ざるを蕎麦を頼み、周りを見ますと。品の良い老紳士が一人、刻んだネギ少しの醤油を掛けたモノを肴にお酒を飲んでいるのが見えました。
 こう言う飲み方が有るのかと、しげしげと見てしまっていたのでしょう、視線に気が付いたその紳士が声を掛けて来ました。
 【失礼しました。蕎麦屋さんでお酒を飲んでいる所を初めて見たものですから、すみません。】
「お若い方は知らないのですね。昔は蕎麦屋で蕎麦を肴にするか刻んだネギを肴に良く寄席帰りに飲んだ物です。締めに蕎麦を手繰って、銭湯に行く。下町の風物詩だったのですよ。どうです1杯遣りませんか?」
好意に甘え1杯だけ頂く積りだったのに、老紳士との会話が心地良く。2杯3杯と杯を重ねてしまいました。
 さらに届いた、てんぷらを肴に加え、お銚子も追加してしまいました。
 「もうそこまでになさい。酒を飲んでも呑まれないのが粋な飲み方です。嬉しい事も嫌な事も酒でどうこうするのはいけません。」
 私はポロポロ涙を流していたようです。
 老紳士は立ち上がり私の背中をポンポンと軽く叩き言いました。
 「何が有ったのか知りませんが、それから逃げるために酒を飲んだのならお門違いです。君も男なら逃げずに立ち向かいなさい。それで斃れるならその方が心の整理は付け易い。」
 老紳士の叱咤にハッと気が付きました。そうです、ウジウジ考え過ぎていました。結局は私がそれでも妻を愛し必要としているのか、妻が私を今でも愛し必要としてくれているのか、それだけです。
 老紳士と別れ病院に行く足取りも、先程までとは雲泥の差が有ります。力強く地面を蹴る事が出来ます。
 いつの間にか妻は個室に入っていました。
 【よう、個室なんて凄いな。】
 当然の疑問です。差額ベッド代も馬鹿になりません。
 『鉄道会社が補償の他に負担するそうよ。だから治療費も含めてタダなの。』
 その事は補償交渉が上手く行っている事を示しています。
 もし妻に私への愛情が無く、私と別れて自立しようとした場合、経済的には何の心配もいらないのです。
 子供達は手が掛からないのです。妻を縛るものは有りません。
 【次に見舞いに来られる頃には、退院の日取りが決まっているのかな。みゆきは戻りたいか?】
 『当たり前でしょう。自分の家に戻りたいのに決まっているじゃない。あなた、なに変な事を言うの。』
 ここで告げなくては、また一月悩む事になります。そろそろ覚悟を決めるべきです。
 持参した、PCを解析した文書を取り出しながら妻に話し掛けます。
 【みゆき・・お前俺に隠している事は無いか?】
 『何よ、藪から棒に。』
 【お前が浮気している事は判っている。何時からなんだ。】
 『何を言っているの。浮気だなんて・・・あなたへンな事言わないで。』
 妻の顔は少し引き攣っている。その様に見えます。
 【HIROと言う奴とか?】
 『じょっ、冗談じゃないわ。いい加減にして怒るわよ。結婚しているのよ、浮気なんかしません。』
 中々妻は白状しません。まあそれは予想していた通りです。
 誰でも浮気を指摘されて、スグ認める筈が有りません。
 しかし私が告げた名前は妻の動揺を誘ったようです。必要以上に怒って見せるような気がします。
 【じゃあ、これはどう言う事だ。】
 ついに証拠を突き付けました。一瞬何の事だか判らずにきょとんとしていた妻の顔色がみるみる蒼ざめて行きます次いで真っ赤になりました。。
 【PCに残って居たものだ。これはお前と奴の遣り取りだよな。】
 『あ、あなた。・・・なんて事をするの、人の秘密を覗き見するなんて酷い。そんな人だとは思わなかった、イヤラシイわ。』
 おいおい、逆ギレか?
 【お前、少し前から随分派手な下着を身に付けるようになったな。化粧も濃いし、夜も外出しているそうじゃないか。ユミもミクもミキもみんなお前の行動を可笑しいと感じているんだ。警察に言われたよ、お前の携帯に子供達の番号が登録されて居ないって。おかしいじゃないか、子供達との連絡用に買った物だろう。なぜ登録していないのだ。】
 次々に指摘されるたびに妻はビクつく。
 言われる度に俯く角度が深くなる。隠れた顔から涙が出ている様子だった。
 【で、どうなんだ。事実なのか違うのかハッキリしてくれ。】
 『あ、あなた違うの。違うのよ。』


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