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【疑惑のテンポラリーファイル】(14)

 「こんにちは、みゆきさん。今日は暖かくて日差しが気持ち良いですね。」
 『ええ、マサミ先生。本当に気持ち良いお天気ですね。子供の頃を思い出しますわ。』
 マサミは診察室でみゆきと他愛もない話をしていた。
 明るい日差しが差し込む麗らかな日の午後。
 例の部屋では無く、マサミの本来の仕事場、診察室である。
 診察室は観葉植物に彩られ、部屋のスピーカーからはせせらぎの音が耳に心地よい程度のボリュームで流れている。
 リクライニングシートは有るが、普通に背凭れは立てられている。
 みゆきとマサミは午後のティータイムを愉しんでいる。
 「診察室では飲食は禁止ですから、皆さんには内緒ですよ。」
 そう言いながら、ティーポットから紅茶をカップに注ぎ、みゆきに手渡す。
 『う~ん美味しい。』
 マサミの淹れてくれたお茶は診察室と言う空間に居ることを忘れさせ、リラックスさせてくれた。
 「子供の頃を思い出すとは?何か楽しい思い出ですか?」
 さりげなくマサミが尋ねる。
 『はい、幼稚園生の頃だったかしら?母と縁側で日向ぼっこをしていたの。とても穏やかでしたわ。』
 みゆきの顔が綻ぶ。
 「そう、良い思い出ですね。またあの頃に戻って見たいと思いませんか?私なら戻って見たいなぁ。」
 『はい。とても懐かしくて・・・戻れるものなら戻りたいですね。』
 みゆきの顔は輝いている。余程良い思い出なのだろう。
 「じゃぁ、ちょっと目を瞑ってみましょうよ。瞼に浮かぶかもしれませんよ。」
 マサミが重ねて言う。
 みゆきは素直に目を瞑る。
 「ゆっくり深呼吸をしてみましょう。・・・はい吸って~~吐いてぇ~」
 みゆきに合わせてマサミも深呼吸をする。
 マサミはみゆきの肩に左手を置いた。右手はみゆきの額に当てられる。
 息を吸う時に軽く右手を後ろへ押す。左手はカラダを支えている。後ろに傾くと、みゆきのカラダに少し緊張が走る。
 息を吐く時には反対に前へ傾けている。
 深呼吸の度に前へ倒す角度が深まる。
 何度も繰り返し深呼吸を行うと、みゆきの瞼が震えているのが見て取れた。
 (よし!・・・軽いトランス状態に入ったわ。)
 
 「楽しかった場面とか、うれしかった場面とか、そんな場面を思い浮かべていると、その場面が、まぶたの裏側に、実際に見えることがあります。それは、まぶたの裏側が、まるでスクリーンのように、あなたの頭の中に記憶された、映像を、映し出しているかのようです。」
 みゆきに言い聞かせるようにマサミが喋る。

「今までにみゆきさんが、見たり聞いたり、感じたりしたもの全てが、あなたの頭の中には、記憶されています。あなたはその中から、見たいもの、聞きたいもの、感じたいものを、取り出すことができます。」
 穏やかな話し振りは続く。

「それは、もしかすると、幼い頃遊んだ、公園の風景かもしれませんし、幼い頃いっしょに遊んだ、友達の声かもしれませんし、幼い頃遊んだ公園の、ブランコの揺れる感覚かもしれません。」

「あるいは、見たり聞いたり、感じたりしたもの全てを、まるでその場にいるように、もう一度体験することも、できるでしょう。」

「そう まるで 夢を見ている時のように。」

「夢の中の出来事は、本当にそれが、現実のものとして、感じられます。実際に、どこかの景色が見えて、人の声や鳥のさえずりが聞こえて、握った手の暖かさを、実際に感じたりすることが出来ます。」

「みゆきさんが夢を見ている時と同じように、あなたの無意識は、あなたが昔いた、時間と場所に、あなたを導いて、昔あなたが見たもの、聞いたもの、感じたりしたことを、本当にその場面にいるように、その時と同じように、体験をさせてくれます。」

「さあ、みゆきさんが子供の頃に体験した、楽しかったその場面に、行ってみましょうか。
そして、楽しかったその時、その場面で、あなたが何を見て、何を聞いて、何を感じたのか、
実際にその時の年齢になって、その時の体になって、その時の気持ちになって、もう一度体験してみましょう。」

「それでは、子供時代の楽しかったその時、その場面に、戻って行く為の 心の準備が出来たら、右手の人差し指を、動かしてみて下さい。」

「はい、それでは、時間と空間を超えて、ゆっくりと、子供時代の、楽しかったその場面に、行ってみましょう」

 『おかあさん、あのね。きょうマミちゃんとね、ようちえんでおままごとしたの。』

 みゆきはマサミの誘導・・・年齢退行催眠により3~5歳の幼児期に戻った様子だった。
 (これで、道は開いたわ。後は少しずつ過去の体験を聞き出しましょう。でも、辛い事、悲しい事、嫌な事、知られたくない事、それらを話してくれるようになるまで先は長いわ。焦らずにやるのよ、マサミ。)

 マサミは知らず知らずに緊張した体を、解すように両手を上げ、背伸びをした。


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