回想録 ~二人の玲子~ 17

 「ここの土は駄目だね。粘りが少ないし・・・別の所へ行こう。」
 章雄はそう言うとさっさと車に乗り込みます。
 玲子も慌てて助手席に乗り込みます、ドアが閉まるとすぐに発車した。
 『先生次はどこへ?』
 「ここから30キロほど山側に候補地があると中澤が言っていた、そこへ行く。」
 「玲子さん、今夜は宿泊になってしまうだろう。○×社の保養所兼ホテルを中澤に手配させた。余計なことをされたと思ったら、ここから電車で帰宅してくれ。」
 『先生・・・余計だなんて・・・有難うございます。・・・私どうしていいのか良く判らなかったので・・・勢いでここまで来ましたが、この先の計画も何も考えていなくて・・・』
 「普通はそうだよね。浮気なんか有ると思わないからどう対処していいか分からないのが当たり前だよ。当事者はモノが見えない状態になるからね、冷静な判断なんか出来っこない。」
 それから車中で章雄の説明に耳を傾けた玲子は、
 『はい、先生。そうします。』
 黙りこくってしまった玲子に章雄は更に言う。
 「何も無ければそれが一番、君も探っていたことを内緒にして会わずに帰宅するのがベストだと思う。・・・しかし・・・疑いが強い場合には・・それでも知らない振りをするのか?それとも現場に踏み込み対決する?」
 それは玲子には酷な話だが、玲子の覚悟、玲子の考えを知るためには必要だった。
 『まだ判りません・・・実際に見たら・・判る・・と思います。』
 

 「月刊『陶芸』の中澤様より承っております。お部屋は303号室と206号室です。」
 フロント係が鍵を二つ差し出す。
 それを受け取りながら章雄がさりげなく聞き出す。
 「今の時期だと会社の方が利用するのが多いんだろうね?観光シーズンは逆だろうけど。」
 「はいお客様、本日は社の研修会がございまして、誠に申し訳ありませんがお食事は同じフロアーで取って頂くことになります。無論パーティションで仕切りますので、ご了承ください。」
 
 「良かったね、研修会は本当だ。」
 半信半疑だった玲子の顔に赤みが差してほっとした様子だった。
 「じゃ、後で食事の時に。」
 そう言い残して章雄と玲子はそれぞれの部屋に入った。

 『先生・・・あそこに・・・』
 玲子が指を指す先に田中の姿が見えた。
 バイキング形式らしく思い思いの場所で食事をしているらしい。
 田中は4人掛けのテーブルに女性と二人で食事していた。
 その女性を見て、玲子が凍りつく。
 「どうした?」
 『・・・彼女・・・どうしてここに?』
 「フロントで確かめてみよう。」


回想録 ~二人の玲子~ 18PageTop7年目の誘惑(22)

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